商品発表に臨むファミマと天神屋の役員。両社と協定を結ぶバスケットボールチーム「ベルテックス静岡」のマスコットも駆けつけた(13日、静岡市)

ファミリーマートは17日から、静岡市の弁当・総菜店の天神屋と組んでご当地のおにぎりと弁当を売り出す。静岡県に加えて愛知県など約2800店で扱い、静岡の味を中部地方全体で楽しめるようにする。天神屋のこだわる「手作り感」のほか、手ごろな価格に抑えることで観光客のみならず地元客のランチ需要なども取り込む考えだ。

145円の「元祖たぬきむすび」と、598円の「たぬきごはん弁当」を開発した。おにぎりはしょうゆとネギの風味に加えて、天かすやダシも混ぜ込んだ天神屋の看板商品。近年テレビでの露出も増え、静岡おでんなどと並び静岡県中部を代表する「B級グルメ」になった。

弁当のごはんも白米ではなくおにぎりと同じ「たぬきごはん」にした。付け合わせはカレー味のシューマイや、味噌ダレを塗ったチキンカツなど揚げ物を中心に食べ応えのある商品に仕上げた。

17日からファミマ店舗で販売する「元祖たぬきむすび」と「たぬきごはん弁当」

ファミリーマートの成田祥之執行役員は「一般的なコラボ商品よりも求めやすい価格にしている。中部地方は製造業を中心に働く人が多く、ボリュームも申し分ないだろう」と話す。はごろもフーズやホテイフーズコーポレーション(静岡市)といった缶詰大手とも過去に商品を企画しており「今回の天神屋との協業も勝算しかない」と気を吐いた。

企画自体は2023年10月ごろから動き始めた。県内のファミマオーナーからも「静岡のソウルフードを再現してほしい」という声があったという。商品開発で苦労した点は手作り感で「天神屋では一人の職人がたぬきごはんを混ぜており、機械での再現は難しい」(天神屋の小板聡明取締役)。6回ほど商品設計を見直して販売にこぎ着けた。

販売は10月14日までで、静岡県と愛知県、岐阜県、三重県の店舗で扱う。販売状況や消費者の声に応じて再発売も検討したいとする。静岡県内の約160店舗ではおでん味のポテトチップスや「たぬきむすびの素(もと)」といった天神屋独自商品4種も販売する。

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