ヒューリックは13日、不動産販売のレーサムを買収すると発表した。同社の実質的な筆頭株主である香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントと買収で合意した。TOB(株式公開買い付け)などで全株式を取得して完全子会社化する。買収総額は1735億円を見込む。
TOBは17日から10月30日まで実施する。買い付け価格は1株あたり5913円。ヒューリックが取締役会でレーサムの買収提案を決議した7月26日の前日である同25日の終値に76%のプレミアム(上乗せ幅)を付けた。9月13日終値に比べ94%高い。
オアシスはTOBには応募しない。TOB終了後に孫会社でレーサム株を約64%保有する香港にある特別目的会社(SPC)をヒューリックに譲渡する。ヒューリックはTOB価格と同じ1株5913円でオアシス側の持つレーサム株をすべて取得することになる。
ヒューリックは発行済み株式の2.78%以上の応募をTOBの成立条件としており、これに届かなかった場合、買収そのものを取りやめる。レーサムは13日、ヒューリックのTOBに賛同し、株主に対しTOBへの応募を推奨すると表明した。
レーサムは商業施設や住宅、オフィスなどを取得し、開発やリニューアルで付加価値を高めて売却するビジネスを得意としている。24年3月期の売上高は前の期比39%増の942億円、純利益は37%増の115億円だった。
ヒューリックは自社の情報網をレーサムの不動産の仕入れや売却に活用して、事業拡大を目指す。資金調達コストも抑えられるとみている。
ヒューリックは富士銀行(現みずほ銀行)のビル管理事業を祖業とする。銀行の支店跡地に小規模のオフィスビルを開発する手法で成長してきたが、近年はホテルやデータセンターなど事業の多角化を進めている。M&A(合併・買収)にも積極的だ。5月には学習塾を展開するリソー教育を約160億円で子会社化した。
オアシスは22年秋、レーサムに対し1株1700円でTOBを実施し筆頭株主となった。株主還元策の拡充などで株価は上昇していた。
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