愛知県内の西三河地域で大型商業施設などの開発が相次いでいる。地域を支える自動車産業で働くファミリー層も多く、集客が見込めるとの判断が背景にあるようだ。

 名古屋鉄道東岡崎駅南口に25日、3階建ての商業施設「SWING(スイング) MALL(モール)」がオープンする。「ジャズの街」岡崎をイメージした内装で、飲食店を始めたい人が使えるコミュニティーキッチンやバーなど17店舗が入る。

 名鉄は、東岡崎駅周辺開発の第一弾と位置づけ、北口を含めた一帯の開発を「SWING HIGAOKA(ヒガオカ)」と呼ぶ。北口の1958年建築の駅ビルは取り壊して9階建てに建て替え、バスターミナルも再整備。

 岡崎市も、線路をまたぐ自由通路や橋上駅舎をつくる予定で、全体として2029年度の完成を目指している。市によると、駅ビル建設などに108億円、自由通路などに113億円かかる事業だ。

 岡崎市の中根康浩市長は「(人口38万人の)岡崎の玄関口にふさわしいものになる。市民の長年の悲願だった」と語る。

「人口集積も多く、マーケット環境も良好」

 隣の安城市のJR安城駅近くには2025年春、商業施設「ららぽーと安城」ができる。さらに岡崎市東部にも在庫品を安く売る「三井アウトレットパーク岡崎」が造られる。

 二つの施設の事業主体の三井不動産によると、ららぽーと安城は元々あった商業施設の敷地を広げ、建て替える。延べ床面積約17万平方メートルに約220店舗が入り、駐車場は3500台分。安城市は渋滞対策に周辺道路や交差点の改良工事もする。

 愛知県内初のアウトレット施設になる岡崎のアウトレットは、25年秋に開業の予定だ。名鉄本宿駅近くの東名高速沿いに建設され、延べ床面積は約6万5千平方メートル、約170店舗が入る予定という。

 三井不動産は出店理由について、ららぽーと安城の5キロ圏内に競合する大型商業施設ないことや、近隣の刈谷市、知立市などからも集客が見込めることをあげる。「人口集積も多く、マーケット環境も良好」(広報部)とみている。

 人口動態統計によると、愛知県は人口千人あたりの出生率が7.1(22年)と全国平均(6.3)より高く、特に自動車産業が集積する西三河地域が高い。安城市7.6、刈谷市8.5、知立市8.0、岡崎市7.2で、商業施設に出かけるファミリー層が比較的多いことが出店を後押している。(前川浩之)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。