小林製薬は17日、紅麹(こうじ)原料を含むサプリメントの健康被害問題の再発防止策を発表した。社長と少数の執行役員による新たな経営執行会議を立ち上げ、社外取締役との連携も密にする。医薬・食品の専門知識を持つ人材や、内部統制に詳しい人材を新たに取締役として招くことも検討する。企業統治の改善につなげる。

健康被害問題を巡っては、小林製薬が1月中旬に最初の症例情報を把握してから3月下旬に公表するまで2カ月以上を要した情報開示の遅れが指摘されてきた。

健康被害情報は、社長や事業部長らが参加する「グループ執行審議会」で議論されていた。17日に発表した再発防止策では「出席者数が多く、議論の場ではなく、責任部門の担当者の報告を聞く場になっていた」とし、廃止の方針を打ち出した。

被害情報を入手してから速やかに行政に報告しなかったのは、報告基準を「因果関係が明確な場合に限る」と解釈していたためだとして、製品の開発・製造に関連する法律や規則の適正な解釈をする専門部署を新設する。組織の変更を伴う施策は25年1月をめどに実施する。

中期経営計画を見直す方針も発表した。これまで重要な経営目標に据えてきた「連続増益」を目標から排除し、品質と安全性の向上に必要な投資ができる環境を整える。小林製薬は2023年12月期まで26期連続、最終増益だった。

健康被害について厚生労働省が主導する原因究明は進行中だ。小林製薬が7月に公表した外部弁護士による検証委員会の報告書は、情報開示や安全管理上の問題点を指摘した。今回の再発防止策は報告書で指摘された点を踏まえて作成している。

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