石川県は県内291地点の7月1日現在の土地の価格を調べた「地価調査」を公表しました。

それによりますと、「住宅地」はマイナス0.3%と4年ぶりの下落となりました。

下落率が最も大きかったのは、
▼輪島市河井町でマイナス14.8%、
次いで、
▼輪島市門前町舘のマイナス13.8%などとなっています。

全国で下落率が大きかった10の地点すべてが輪島市や能登町などの被災地となりました。

能登地方では、人口減少などを背景に地価の下落傾向が続いていましたが、地震の被害でさらに下落が進んだかたちです。

珠洲市の「住宅地」のデータは、すべての地点が去年から変更されているため、今回、変動率は算出されないということです。

石川県内の「商業地」はプラス0.7%と2年連続の上昇となりました。

上昇率が最も大きかったのは、
▼金沢市片町2丁目でプラス13.6%となっています。

小松市では、北陸新幹線の敦賀延伸の効果などが出ていて、小松駅に近い
▼龍助町がプラス9.7%、
▼日の出町1丁目がプラス7.4%となっています。

一方、能登半島地震の影響で被災地では「商業地」の地価が下落し、下落率が最も大きかったのは地震で大規模な火災が起きた「朝市通り」に近い輪島市新橋通で、マイナス17.1%となっています。

「商業地」では全国で下落率が大きかった10の地点のうち、9つの地点が石川県内の被災地、1つの地点が富山県内の被災地でした。

調査にあたった不動産鑑定士の西郷悟さんは「被災地の復旧・復興に時間がかかるほど地価の下落幅は大きくなる。自治体が復興計画をどのように実行していくかが今後の地価の重要な指標となる」と話しています。

輪島の不動産会社 被災者からの相談が増加

石川県輪島市の不動産会社では、自宅などが大きな被害を受け、別の場所に移り住みたいという被災者からの相談が増えています。

しかし、地価の大幅な下落で土地を売りたくても難しいという内容が目立つといいます。

輪島市で建物や土地の売買の仲介などを行う不動産会社にはことし3月ごろから被災者からの相談が増え始め、その数はこれまでに20件ほどとなっています。

自宅が大きな被害を受けたため別の地域に新たな住宅を購入したいという被災者からの相談では、地価の下落の幅が大きくローンなどが残ってしまうため自宅の売却が難しいという内容が目立つといいます。

地震の被害を受け輪島市から離れる決断をした被災者から自宅を公費解体した後の土地の価格を知りたいという相談も寄せられています。

不動産会社では、公費解体が今後進むと土地を売りたいという被災者からの相談はさらに増えるとみています。

「マルゼン不動産」の久岡みゆき社長は、「相談を寄せた被災者には地価の下落で住宅や土地を購入した時の価格の水準ではとても売ることはできないと伝えています。地価の下落で土地を売却してもローンが残ってしまうとして途中で話がとまってしまうケースも出ています」と話しています。

富山県の被災地も全国6番目の下落率

今回の調査で能登半島地震の別の被災地、富山県高岡市伏木古国府でも地価が11.3%下落し、商業地として全国で6番目の下落率となりました。

調査した不動産鑑定士の竹田達矢さんは高岡市や氷見市では
▼地震により沿岸部を中心に液状化の被害が相次いでいることや
▼被災した住民が地区を離れる動きが出ていることが下落の主な要因だとしています。

この地区にある松野聡子さんが営む昆布などの販売店は、液状化の被害で建物が10センチから20センチほど沈み、一部損壊と判定されました。

観光客が減り、地元の常連客も被災して地区を離れる人が相次いだことなどから、先月(8月)の売り上げは去年の同じ月の3分の1に落ち込んでいるということです。

松野さんは「常連客が引っ越し、客が減ってさみしい。液状化の被害を個人で直すのは難しいので、行政に復旧を進めてもらい、いつか地区がもっと盛り上がってほしい」と話しています。

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