決算説明会で質問に答えるファーストリテイリングの柳井会長兼社長(11日、東京都港区)

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は11日開いた決算説明会で、外国為替市場での対ドルの歴史的な円安水準について「日本にとって良いわけがない」と述べた。小売業では多くの人手を使って作業する「人海戦術」に頼っている点が課題だと指摘し、人材を効率的に配置し、報酬も引き上げることが重要だとの考えを示した。主なやり取りは以下の通り。

――通期の売上収益は3兆円を超える見込みで、10年程度で10兆円に伸ばす目標も掲げています。

「3兆円や10兆円については世界が市場になれば十分可能だ。一番大事なことは商売の原点に返ること。言い換えれば人に投資をすることだ。人材に尽きる」

――小売業では採用が難しくなっています。23年には初任給を引き上げましたが、今後の賃上げへの考え方を教えてください。

「世界中でインフレが進んでいる。給料を改善しないと成長しないのは当然だ。インターネットやスマートフォン、生成AIが登場した『超情報化社会』では世界中で情報がすぐに伝わり、人もすぐに移動する。小売業の問題は人海戦術であることだ。もっと人を大事にして、小売業こそ少数精鋭でやらないとならない」

――外国為替市場では34年ぶりの円安水準です。業績や日本経済に与える影響はいかがでしょうか。

「円安は我々の会社だけでなく、日本にとっても良いわけがない。これは基本的な考え方だ。世界の中の日本を考えると円安になることを喜ぶような人はおかしいのではと思うし、あってはならないと考えている」

――国内の消費動向について、買い控えで客単価が伸び悩む傾向がありますが、どうみていますか。

「(消費者が受け取る実質的な)報酬が減っているから、買い控えをして当然だ。安易な値上げはできないし反対に値下げもどうかと思う。値付けは商売の元なので、真剣に取り組んでいく」

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