半導体の接続材料として使われる金製のボンディングワイヤ=田中貴金属グループ提供

 国内の金小売価格の指標になったり、純金製オブジェを製作したり――。金といえば話題に上る地金販売国内最大手の田中貴金属グループが、9月下旬に九州で開かれる半導体産業の展示会に出展する。金から半導体分野に参入か? いや、実はそうではなく……。

 「金関連の事業で消費者に知っていただいていますが、グループの売り上げに占める割合は2割程度なんです」と広報担当者。グループ中核の田中貴金属工業は「工業」と社名に付くとおり、本来は産業用の貴金属製品などの製造販売が主力だ。

 グループ企業の一つで1961年創業の田中電子工業(本社・佐賀県吉野ケ里町)は、半導体の接続材料として使われる金属線「ボンディングワイヤ」の製造で世界トップシェアを誇る。

 グループは25、26日に福岡市内で開かれる半導体産業展に出展する。田中貴金属工業、田中電子工業、EEJAのグループ3社が、ボンディングワイヤや接着剤など半導体関連の主力製品のパネル展示をする。

 九州は半導体の受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の進出を機に活気づく。半導体産業に特化した展示会は九州初開催で、参加を通じて現地での認知度をより高めたい考えだ。田中電子工業の担当者は「業界の盛り上がりに貢献したい」と意気込む。【植田憲尚】

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