NTT子会社のNTTアノードエナジー(東京・港)は20日、太陽光発電など再生可能エネルギーの地産地消に向けた実証実験を始めると発表した。地域や家庭で作った電力を無駄なく活用し、マイクログリッド(小規模電力網)を整える。2025年度以降の配電事業への参入を目指す。
送配電網は消費地に向かうほど設備の容量が小さくなる。再生エネを接続した場合、太陽光発電の発電量が急増すると容量を超え、電線や機器の故障などが起きるリスクがある。
こうした課題を解決するため、大崎電気工業、NEC、三菱電機などと共同で、変電所から家庭に電力を届ける配電網のデータ管理システムを開発した。強みを持つICT(情報通信技術)を生かし、電流や電圧の状況を見える化する新型スマートメーターと蓄電池を組み合わせた。
岐阜県八百津町でシステムの実証実験を近く始める。同町の施設にスマートメーター5台程度を設置し、NTTの「通信ビル」に総容量750キロワット時の蓄電池を置く。配電網の容量を超えそうな場合は蓄電池に充電し、天候の変化に応じた再生エネの制御が可能かどうかを検証する。
システムは電力会社などへの販売を見込む。蓄電池にためた電力は卸電力取引市場などで売却できるようにする。災害など非常時の電源としても活用できるとみる。
NTTは電話やインターネットのサービスを提供するため、電話交換機などを置いた通信ビルを全国に約7000カ所持つ。市町村数の約4倍にあたるこの施設を活用すれば、きめ細かく地域に再生エネを届けられる。「資産を活用しながら、再生エネ拡大に向けて配電インフラをアップデートする」(NTTアノードエナジー)としている。
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