米鉄鋼大手USスチールは25日、日本製鉄に買収者としての適格性があるかどうかをUSスチールと全米鉄鋼労働組合(USW)が争った仲裁を巡り、仲裁委員会が会社側の主張通り日鉄の適格性を認めたと発表した。法的拘束力はないが、仲裁委の支持を得たことで難航する日鉄の買収の追い風となる可能性がある。

 日鉄による買収に合意したUSスチールと、反対の立場を取るUSWの双方が選出した仲裁委メンバーが、ヒアリングするなどして議論してきた。仲裁委は、日鉄が買収後にUSスチールの製鉄所に投資することや、2026年までの労働協約期間中は一時解雇や工場閉鎖を行わないといった約束を根拠として、日鉄の買収適格性を認めた。

 USスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者は声明で「仲裁手続きが終わり、保留中の日鉄との取引が前に進むことを楽しみにしている」と強調。一方、USWは今回の決定に「同意しない」とする声明を発表。仲裁委が「米政府の承認がないため買収は成立しない可能性がある」と指摘したと説明し、改めて買収に反対する考えを示した。(共同)

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