【ニューヨーク=弓真名】米国の主要な航空会社の2024年1〜3月期決算が25日、出そろった。ボーイング機の事故による影響が業績の重荷となっている。ボーイング機の納入が遅れていることによって運航規模を縮小する動きもあることから、旺盛な需要が予想される夏の旅行シーズンにも影響が及びそうだ。
米格安航空会社(LCC)のサウスウエスト航空が25日発表した24年1〜3月期決算は、最終損益が2億3100万ドル(約360億円)の赤字(前年同期も1億5900万ドルの赤字)だった。売上高は11%増と堅調だったものの、従業員との新契約に関連する費用や機体の整備・修繕費用がかさんだ。
コストの逼迫に加え、ボーイング事故の影響が業績の重荷となっている。サウスウエストは24年通期で46機の「737MAX8」を納入する予定だったが、20機にとどまると発表した。納入予定の変更をうけ、24年12月期通期の業績見通しを下方修正した。売上高成長率の予想を従来の前期比2桁増から1桁台後半の増加に引き下げた。
ボブ・ジョーダン最高経営責任者(CEO)はボーイングの影響について声明で「24年から25年にかけて大きな課題となる」と懸念を示した。今後、古いボーイング機の退役を延期したり、従業員に無給休暇を促したるするなどの対策をとり、採算向上を図る。
同日に決算を発表したアメリカンも人件費関連のコスト負担が増えたことで採算が悪化し、最終赤字だった。ボーイングについて「他の航空会社に比べると影響は軽微」とするものの、24年12月期通期で納入予定だった機体数は29機から22機に減少する見込みだ。
1月初め、アラスカ航空が運航していたボーイング製の小型機「737MAX9」の非常口を塞ぐプラグが飛行中に吹き飛んだ。事故の影響は航空会社によって異なり、ボーイング機が占める割合によって明暗が分かれている。
ユナイテッド航空は1月の事故をうけて約2億ドルの損失があり、最終赤字を計上した。米メディアによると、同社が運航する航空機の約8割がボーイング製のため、事故の影響が大きかった。一方、ボーイング機が占める割合が約半数のデルタ航空はボーイング事故の影響が比較的少なく、増収と黒字転換を確保した。
こうしたボーイング機の事故の影響は今後さらに広がる可能性がある。ユナイテッドとサウスウエストは納入の遅れをうけて運航規模を縮小すると発表した。旅行需要が高まる夏休みに航空便の供給不足による遅延や欠航、運賃の高騰を引き起こすとの見方がある。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。