住友金属鉱山のSiC基板は低コストで生産できるのが強みだ

住友金属鉱山は27日、2025年度をメドにパワー半導体に使う炭化ケイ素(SiC)基板の量産ラインを設けると発表した。投資金額は数百億円とみられる。同社のSiCウエハー基板は高価で性能の良い単結晶と多結晶を貼り合わせ、コストを抑えられるのが強みだ。電気自動車(EV)などでの採用を見込む。

住友鉱山傘下のサイコックス(東京・港)が鹿児島県の工場内に量産ラインを設ける。8インチの大型のSiCウエハーの基板を製造する。同社はすでに6インチの基板を製造していたが事業規模は限定的だった。月産能力は1万枚(6インチ換算)を予定する。

同社はSiCの地金(インゴット)を調達し、切断と研磨、貼り合わせの加工を担う。非鉄金属大手の住友鉱山が結晶材の研磨で培ってきた技術を応用した。現在普及するSiCウエハーは単結晶のものが大半だった。貼り合わせにより高価な単結晶のSiCの使用量を削減できる。国内外の半導体企業向けに基板を販売するほか技術供与も進める。

具体的な売上高目標などは非開示。住友鉱山は、鉱山開発や銅精錬などの既存事業に加えて、素材を生かした材料事業を広げている。リチウムイオン電池向けの正極材などでも存在感を増している。

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