パナソニックホールディングス(HD)は27日、人工知能(AI)開発スタートアップのファストラベル(東京・渋谷)とAI開発の効率化に向けて協業すると発表した。パナソニックHDが持つ画像認識技術と、ファストラベルのAI開発システムを組み合わせることで、機械学習に必要な画像などの準備時間を大幅に短縮できるという。

機械学習用の画像を準備するためには、AI技術者が画像から必要な部分のみを抽出して分類しなくてはならない。だが、様々なモノの画像から必要な部分の輪郭だけをなぞる作業には時間がかかっていた。部品の不具合など細かな形状の変化を見分けるには、製造や開発にかかわった専門家の視点も不可欠だった。

パナソニックHDはキーワードを打ち込むだけで、画像の中から必要な部分だけを認識して抽出する技術を持つ。この技術をファストラベルのAI開発システムと組み合わせて、様々な分野の画像を一元管理できるようにする。

事業分野ごとに別途システムを開発する手間が省けるほか、画像にうつっている物体ごとにタグ付けするだけで管理できるため、AIに詳しくない人でも容易に使えるようになる。

パナソニックHDは家電や電子部品、電池など事業分野が広く、部品検査や工場内の作業効率化でもAIを活用する機会が多い。このため画像を一元管理できるシステムを導入する利点は多い。すでに冷蔵庫内の野菜を認識する仕組みで今回のシステムの試験を進めており、AIを組み込んだ新たな家電の開発につながる可能性もある。

パナソニックHDのデジタル・AI技術センターの九津見洋所長は「現時点では機械学習用の画像の準備にかかる時間を3割程度短縮できそうだ。今後もさらなる短縮を目指していく」と話している。

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