非化石証書を調達していることも値上げの一因だ

家庭向け新電力最大手の東京ガスは1日、2025年3月検針分から標準家庭の電気代を0.8%値上げすると発表した。値上げは23年に続き2回目。4年後の電力供給力を売買する「容量市場」の運用が4月に始まり、発電所の維持コストの負担が求められたことが重荷になった。平均的な使用量の家庭で月間65円程度の値上げになる。

東京ガスは関東を中心に電力小売りを手がけており、契約数は約390万件。顧客にはチラシなどで新料金を知らせる。

東京ガスの新料金は東京電力エナジーパートナーの料金よりも1.4%程度安くした。契約数を増やしたい考えだ。

値上げの主な要因は容量市場の運用に伴う負担増だ。容量市場は4年後の電力供給力を確保するため導入された。小売電気事業者は安定的に発電してもらうためのコストを容量拠出金として出費する。

東京ガスの電力の小売り規模は自社発電分の電力だけでまかなえず、容量拠出金の負担が増えている。今後も契約数が増えると負担増になる。

東京ガスは電気が化石燃料由来でないことを証明する「非化石証書」を市場から調達していることも重荷になった。電気事業者は一定の比率を再生可能エネルギーや原子力発電など化石燃料を使わない電源による非化石電源とする目標が課されている。

同社は「2〜3年後を見越して値上げした。自社での発電量を上げるなどの対応もする」と説明した。同日、口座振替でガス料金を支払う顧客に適用している月55円の口座振替割引を25年3月検針分から廃止することも発表した。キャッシュレス決済手段が多様化しているため。

【関連記事】

  • ・電力確保へ新市場、新電力負担3000億円 電気代値上げも
  • ・TGオクトパスエナジー、家庭向けに太陽光と蓄電池設置

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。