少子高齢化に伴う鉄道需要の減少に備え、JR東はデジタルサービスの拡充に力を入れる

JR東日本は1日、駅利用者の潜在的な購買力を算出できるサービスを始めたと発表した。交通系ICサービス「Suica(スイカ)」の利用者情報に公的統計を組み合わせてデータを割り出す。駅周辺への出店を計画する企業に市場調査の基礎データとして売り込む。

サービス名は「駅カルテ 消費ポテンシャル」。データの算出には各駅の利用者数などJR東が持つ独自のデータに加え、国勢調査など公的統計のオープンデータを利用する。駅周辺で1年間に期待できる購買力や消費支出額を近隣居住者と訪問者に分けて算出できる。

利用企業向けに専用ウェブサイトを開設し、首都圏など約250駅のうち最大10駅のデータを比較できるようにした。利用料金は期間に応じて異なり、3カ月の場合は80万円。6カ月なら120万円、12カ月なら200万円となる。

購買力データを算出する専用ウェブサイトのイメージ(同社提供)

JR東は2013年にも鉄道データの外販を試みたが、個人情報への配慮が足りないと反発を浴び、一度は中止に追い込まれた。22年に提供を開始した「駅カルテ」では利用時間や年齢層の区分を曖昧にし、個人を識別しにくくした。同社は購買力データの外販についても「個人情報やプライバシーの保護に十分留意する」と説明している。

少子高齢化に伴う鉄道需要の減少に備え、JR東はインターネット銀行「JRE BANK(JREバンク)」を立ち上げるなどデジタルサービスの拡充に力を入れる。鉄道や商業施設、ホテルなど膨大な利用データを蓄積したスイカの特性を生かし、23年度に8470億円だった非鉄道事業の収益を33年度までに倍増させる。

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