関西電力送配電は1日、低濃度のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む電柱の変圧器をめぐり、不適切な取り扱いがあったと発表した。25年以上前から事態を把握していたが、国などに虚偽報告をしたとして、指示をした副社長に辞職を勧告し、副社長は同日付で退任した。

 PCBは電気を通さない性質から変圧器などに利用されたが、1968年に発覚した「カネミ油症事件」をきっかけに毒性が問題になり、72年に生産と輸入が禁止された。

 1980年代末には、電力各社で電柱の変圧器に低濃度のPCBが混入していることが発覚。関西電力は90年から修理と新品への交換を進め、2019年からは新品への交換のみに対応を切り替えた。

 1998年と2002年のサンプル調査で、PCBを除く修理を経た変圧器の絶縁油からも環境基準を超える低濃度PCBが検出されたのに、修理方法の変更などの対応をしなかった。

 2019年に、前年の台風で被災した修理済み変圧器から基準を超える低濃度PCBが検出されたため、修理をやめて全て新品に交換することにした。この時は、国や大阪府などに修理品へのPCB混入を初めて把握したと虚偽の説明をした。

 この問題は昨年11月、社外に設けている公益通報の窓口に相談があり、発覚。社外弁護士らに依頼し調査した。同社は「法令違反は確認できていない」としつつ、「一部の人間だけが関わって組織として問題を把握することができなかった。重大な問題だと認識している」と説明している。

 関電送配電は、24年3月末時点で電柱の変圧器は約189万台あり、うち約163万台はPCBを含まないことを確認したという。残る約26万台のうち、PCBを含む可能性がある約19万台も26年度末までに取り換える方針だ。(西村宏治、森下友貴)

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