仏アリアンスペース幹部と握手するBULLの宇藤恭士社長(中央)

宇宙ごみ(スペースデブリ)対策に取り組むスタートアップのBULL(ブル、宇都宮市)は4日、欧州各国の企業が出資する仏アリアンスペースと、新型ロケット「アリアン6」への宇宙ごみ発生防止装置の搭載可能性について検討に入ったと発表した。国外の企業・研究機関によるロケットへの初搭載を目指す。

ブルが開発中の「HORN」はロケットや人工衛星などが運用後も宇宙空間を漂いデブリ化するのを防ぐ。打ち上げ前に組み込み、ロケットなどが役目を終えると起動。装置から宇宙空間に凧(たこ)のような構造物を広げて軌道上のわずかな空気抵抗をとらえ、ロケットなどを減速して大気圏へ再突入させ燃え尽きるのを早める。

BULLの宇藤恭士社長は「宇宙開発における環境規制や持続可能性への配慮で最先端を行く欧州の中でもトッププレーヤーのアリアンスペースと、搭載に向けた具体的検討ができるのは大変喜ばしいことだ」とコメントした。

HORNは日本では宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2025年度に打ち上げ予定のH3ロケット試験機に搭載予定。装置を組み込んだ超小型衛星としてロケットから放出し動作を確認する。JAXAが開発中の次世代ロケット「イプシロンS」でも搭載の実現性を検討中で、実証実験などを経て2〜3年以内の搭載をめざす。

ブルは宇都宮市の産学官金が新産業創出を目指す「アクセラレータープログラム」の支援で22年に創業。JAXAと新技術獲得や事業化に共同で取り組む「宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」を結ぶなど関係を強化する。文部科学省の中小企業イノベーション創出推進事業の補助事業者にも選ばれた。

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