三陽商会の3〜8月期は減収減益だった

三陽商会の株価が4日、一時前日比271円(11%)高い2665円まで上昇した。同日発表した2024年3〜8月期の連結決算は最終減益だったものの、併せて明らかにした最大30億円の自社株買いの方針が好感された。

終値は252円(11%)高い2646円で、上昇率は東証プライムで首位だった。自社株買いは発行済み株式総数(自己株式を除く)の8.6%にあたる101万株を上限とする。取得期間は10月7日から25年2月20日まで。

三陽商会は英高級ブランド「バーバリー」とのライセンス契約の終了後、22年2月期まで6期連続で営業赤字だった。品ぞろえの絞り込みや原価抑制などで、業績は回復基調にある。24年2月期の営業利益は前の期比36%増の30億円だった。

現状は成長投資や株主還元にも配慮する段階と同社は位置づける。自社株買いはその一環だ。同日、26年2月期までに22億〜95億円の成長投資、24億〜54億円の株主還元を実施する方針を明らかにした。前期末に194億円あった現預金(借入金などを除く)を2年で130億〜135億円まで減らす。

併せて発表した24年3〜8月期の連結決算は、純利益が前年同期比39%減の4億5700万円だった。新型コロナウイルス禍からの回復で販売が好調だった前年同期の反動が出た。人件費などの販管費も増えた。

売上高は1%減の279億円だった。盛夏季用商品の販売が不振だった。大江伸治社長は同日の決算会見で「この時期の商品に不可欠な『値ごろ感』を欠き、消費者ニーズとミスマッチがあった」と話した。

25年2月期の通期計画は据え置いた。売上高は2%増の625億円、純利益は11%増の31億円を見込む。大江社長は「秋冬商材の比率が高く、(コートなどの)重衣料が動かないとトップラインが落ち込むリスクはある」と話した。値引き販売の抑制で粗利益率の改善を図るほか、固定費の削減に取り組む。

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