高橋書店は25年1月始まりの手帳で、カバーの着せ替えに対応した商品を6シリーズ88点に増やした。24年1月始まりでは4シリーズ54点に対応しており、対応商品数はこの1年で約6割増えた。自社電子商取引(EC)で販売する商品が対象で、店頭や外部のECサイト経由での購入では対応していない。
従来は中身のレイアウトなどによって選択可能な表紙カラーの数には制約があった。着せ替えでは中身が異なっても同一シリーズ・同サイズの商品であれば、他のタイプにしか取り扱いがなかった色のカバーを選べる。「フェルテ」シリーズのレフト式タイプの場合、これまで用意していた表紙は2色だったが着せ替えで選択肢が11色と5倍以上に増える。色の選択肢が10倍程度に増えた商品もある。
「衣料品などで自分好みにカスタマイズできる商品が増えている。カラーが好みに合わないと、購入まで行き着かないこともある」(高橋書店日記事業部の栗田さやか課長)。「好みに合った色のカバーを選べるようにしてほしい」との声ははがきや電話で例年寄せられていたが、店頭などで他の商品のカバーに差し替えるといった対応は現実的ではなく応えられていなかった。
着せ替えへの対応を可能にしたのが、同社が22年から始めた自社ECの展開だ。着せ替えの注文数は24年版では、初年の23年版から約2.5倍に増えている。
NOLTYでも着せ替え対応商品を増やしているほか、カレンダーやノートなど中身を自分好みにカスタマイズできるタイプの商品「NOLTY TiO(ティオ)」シリーズも好調だ。23年版で取り扱いを始めて以来堅調に推移しており、25年版ではカバーに新色を追加。ToDoリストタイプを追加するなど中身のノートのバリエーションも増やしている。
日々の記録を手帳や日記につける「ライフログ」需要もコロナ禍以来のトレンドだ。自らの生活を振り返る機会が増えたことで、日々の出来事や考えなどを記録しておきたいと考える消費者ニーズが高まりをみせている。
高橋書店は25年版から、メモページの記入欄にあらかじめ日付を入れていない「フリーログ」商品の取り扱いをEC限定で始めた。手帳に日々のログを残したいと考える購入者は多いものの、書きたい内容が毎日あるとは限らないことに対応した商品だ。手帳の利用を続けてもらうことを重視し、用意した記入欄は多いタイプでも年間200日分にとどめている。
長く使い続けている商品を店頭で購入する消費者が依然として主流だ。一方で着せ替えなどのカスタマイズ需要にきめ細やかに対応したり、手軽に続けやすい点を訴求したりして紙の手帳への消費者のつなぎ留めも図る。(桜井貴文)
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