セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は10日に開いた会見で、カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール」から、新たに7兆円規模の買収提案を受けたことについて「企業価値を上げるための提案については真摯(しんし)に聞いて対応しようと考えている。特別委員会のメンバーに客観的に分析してもらい、一緒に議論をする姿勢で臨んでいる」と述べ、社外の取締役からなる特別委員会で議論する考えを示しました。

一方でセブン&アイは、祖業のスーパー「イトーヨーカ堂」などコンビニ以外の事業を中間持ち株会社の傘下に置くグループの再編計画を発表したうえで、業績が振るわないネットスーパー事業からの撤退や、アメリカでコンビニ400店舗あまりを閉鎖するリストラ策も示しました。

井阪社長は「資本効率をしっかり考えて経営をすることが、提案の価値を上回って株主から評価をいただくすべだ」と述べ、経営の効率化によってクシュタール社の提案を上回る企業価値を実現できるかが今後の課題となります。

専門家「主力のコンビニ事業の回復が課題」

流通業界に詳しいUBS証券の風早隆弘シニアアナリストは、セブン&アイがグループ再編を発表した理由について「クシュタール社から買収提案の金額が示されたことで、もしこの提案を受けないのであれば企業価値を早期に上げないといけないということだ。会社の発足以降、今ほど経営の実行力が問われている時期はない」と述べました。

その上でセブン&アイの今後の課題について「株価が低迷している理由は主力のコンビニ事業の業績不振にあり、これからどうやってコンビニ事業を回復できるかが重要になってくる。業績回復が進まないと株価は上昇しない。そうするとクシュタール社の件も含めて他社からのプレッシャーが継続的に起きてくるだろう」と指摘しています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。