日本製鉄は11日、米USスチールの買収が実現した場合、米国で構えている欧州アルセロール・ミッタルとの合弁を解消すると発表した。解消すれば約2300億円の特別損失を計上する。その負担を負ってでも、約2兆円を投じるUSスチール買収が米国の独占禁止法に触れるリスクを引き下げ、買収を円滑に進める狙い。

 対象は自動車などに使う薄板の加工を米南部アラバマ州で手がけるカルバート社。日鉄は2014年、自社分だけで7.8億ドル(当時のレートで約800億円)を投じミッタルと共同で買収していた。上工程も下工程も担うUSスチール買収が成立すると日鉄の市場占有率が一部製品で高まり、独禁法に触れるリスクがあると判断。保有するカルバート社株の50%をミッタルに総額1ドルで売却する。

 日鉄が年内完了をめざすUSスチールの買収計画をめぐっては、米国の独禁当局とは別に、対米外国投資委員会(CFIUS)が安全保障への影響を審査している。買収が実現しない場合、カルバート社の合弁は維持する。(山本精作)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。