ダイキンが公開した万博会場の休憩所。首から背中にかけて、背面の氷を通じてひんやりとした空気を感じることができる

ダイキン工業は16日、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の会場内に建設中の休憩所を報道陣に公開した。壁面に沿って設置したベンチに座ると、背面にある氷のパネルを通じてひんやりとした空気を感じることができる。氷ができる水槽の中をカメラを使って遠隔で監視しながら、必要に応じて氷を追加でつくる。室温は外気温より5度程度低くする。

「壁に背中をもたれてみてください」。ダイキンが万博会場に設置する休憩所「氷のクールスポット」を企画したテクノロジー・イノベーションセンターの太田由美氏は同日、集まった報道陣を前に説明した。壁面のベンチに座ってみると、首から背中にかけてじんわりと冷えるのを感じた。

仕組みはシンプルだ。壁面に長方形の水槽を設置し、その中に垂直方向に銅管を並べ、そこに温度がマイナス10度の冷媒を流す。冷媒の働きによって周囲の水が凍っていき、銅管のまわりを囲うように氷の柱ができる。氷が溶ける際に周囲から熱エネルギーを奪う「冷輻射(れいふくしゃ)」の原理を応用したダイキンの空調機器だ。

水槽を覆っている透明なアクリル部分は表面温度が約8度で、ステンレス部分は同約3度とひんやりしている。真夏はこの空調だけでは不十分な場合もあるため、足元には補助空調を設置して室温を調整する。

建物には関西圏の木材を活用し、内装には吉野杉を採用した

建物は木材でできており、壁は内側と外側で二重の縦格子を採用している。これによって外部の直射日光は避けつつある程度の光を取り入れながら、開放感が出るように工夫した。オレンジ色の照明を梁(はり)の上に設置することで、夜間にはやらわかな光で室内を照らす。

氷の生成には、屋根に設置した太陽光パネルを通じて発電した電気を活用する。太陽光パネルは緑色のデザインを採用し、周囲の植栽と調和がとれるように工夫した。休憩所の背後には万博会場のシンボルとなる「大屋根(リング)」があり、リング上を歩く人が上から見ても違和感のないデザインを意識したという。

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