写真はイメージ=ゲッティ

 経団連は16日、会員企業の役員に占める女性比率などに関する調査結果を公表した。女性役員を一人も登用していない東証プライム上場企業は減少し、経団連会員企業で1・5%、プライム上場企業全体で4・2%となった。一方で、社内人材の登用の遅れは依然として課題となっている。

 政府は、プライム上場企業の役員に占める女性の割合を「2030年までに30%以上」にする目標を掲げている。23年12月には新たな数値目標として、プライム上場企業の女性役員の割合を25年までに19%に引き上げ、女性役員の登用がない企業の割合をゼロにする目標を打ち出した。

 経団連の調査は24年7月時点で行い、取締役と監査役、執行役について調べた。対象となったプライム上場企業は1637社で、このうち経団連会員企業は716社。

 「女性役員が一人も登用されていない企業」は、プライム上場企業全体で23年比6・8ポイント減の4・2%、プライム上場の経団連会員企業では3・7ポイント減の1・5%にまで減少した。

 女性役員の割合は、プライム上場企業全体で2・8ポイント増の16・1%、会員企業では2・7ポイント増の16・8%となった。経団連の担当者は「政府目標に加え、株主や投資家の目線も厳しくなってきている。多様性のある企業はイノベーティブで、危機にも強いという意識の高まりも大きい」と話した。

 一方で、社内登用の女性役員はプライム上場企業、会員企業ともに2%程度にとどまり、9割近くは社外からの登用だった。担当者は「部長や課長など管理職の段階から女性比率を高めていく必要がある」としている。

 内閣府によると、主要国の女性役員比率(22年)は、フランスで45・2%、イタリアで42・6%、英国で40・9%――などとなっており、日本は低い割合にとどまっている。【町野幸】

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