【ニューヨーク=吉田圭織】米食品医薬品局(FDA)は26日、米製薬大手ファイザーの血友病の一種である「血友病B」向けの遺伝子治療薬「ベクベス」を承認した。従来の血友病の治療と異なり、治療は1回の投与で済む。ファイザーの遺伝子治療薬が米国で承認されたのは初めて。
血友病は血を固めるはたらきを持つたんぱく質「血液凝固因子」がうまく働かず、出血が止まりにくくなる希少遺伝性疾患だ。10種類以上ある凝固因子のうち第8因子が欠損している場合は血友病A、第9因子が欠けている場合は血友病Bと分類される。
ファイザーのベクベスは1回の治療で体内で血液凝固因子を作れるようにする。世界血友病連盟によると、世界に3万8000人以上の血友病B患者がいる。
従来は週に数回、または1カ月に数回、血液凝固因子を投与して治療していた。米メディアによると、保険適用前のベクベスの価格は350万ドル(約5億5000万円)と高額だ。2024年4〜6月期中に提供し始める。同治療薬はすでにカナダ当局から承認を得ており、欧州連合(EU)でも承認申請をしている。
ファイザーの業績は新型コロナウイルスのワクチンと治療薬の販売量が減ってから苦戦している。代わりとなる分野の拡大を目指し、がん治療薬や肥満症薬などの開発にも力を入れている。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。