マイクロソフトが電力供給を受けるスリーマイル島原子力発電所=AP

生成AI(人工知能)が急速に普及し、電力不足が世界で懸念されています。AIがデータを学習する際に大きな電力を消費するためです。日本では2050年までに消費が4割弱増えるとの予測があります。米グーグルやアマゾン・ドット・コムは、小型原子力発電で供給と脱炭素を両立させようとしています。参考になる記事を選びました。

原子力発電、脱炭素にも期待

米アマゾン・ドット・コムは16日、データセンター向けの電力を確保するため小型原子力発電に投資すると発表しました。グーグルは次世代の原子力発電「小型モジュール炉(SMR)」の開発を手がける米新興カイロス・パワーと電力の購買契約を結び、米マイクロソフトは再稼働するスリーマイル島原子力発電所1号基から電力供給を受けます。

米IT大手が相次いで原発に投資するのは、生成AIの普及に比例して電力消費が大きいデータセンターを増やさなくてはならないためです。世界的な脱炭素の流れの中で、二酸化炭素(CO2)の排出減も求められています。再生可能エネルギーだけでは不十分で、事故時の安全対策がしやすく建設費も抑えられるSMRに注目が集まっています。

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Google検索の10倍の電力消費

シンガポールのデータセンターは電力効率化などの環境対応に力を入れている

国際エネルギー機関(IEA)によると「Chat(チャット)GPT」の1問答に必要な消費電力は「Google検索」の10倍に相当します。IEAの試算では、世界のデータセンターの電力消費量は2026年に22年比で2.2倍に増えます。

日本では2050年までに4割弱増えるとの予測もあり、電力需要の増加にどう対応するかが大きな課題になっています。

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省エネ化に商機

NTTは次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を世界に広めようとしている

電力をつくるばかりではなく、消費をいかにおさえるかという観点も重要です。省エネを商機とみて、国内外の企業が技術開発でしのぎを削っています。NTTが世界での普及を目指すのが次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」です。電気処理を光に置き換える「光電融合」により、電力消費を大幅に減らすことを目指しています。

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