JFEスチールは18日、変圧器に使う高級鋼材「電磁鋼板」を手がけるインドのメーカーを現地企業と共同で買収すると発表した。買収額は約720億円。2025年中にも手続きを完了し、旺盛な電力インフラ向けの需要を取り込む。
インド鉄鋼大手のJSWスチールと折半出資する合弁会社を通じて、独鉄鋼大手ティッセン・クルップのインド子会社を買収する。同子会社は変圧器向けの「方向性電磁鋼板」をインド国内で唯一製造しているという。直近の年間売上高は127億ルピー(約226億円)だった。
JFEは10年にJSWスチールに出資し、自動車用鋼板などで技術協力を進めてきた。23年には合弁企業の設立で合意し、24年に南部カルナタカ州で電磁鋼板の工場建設を始めている。
同工場が完成する27年にインドでの電磁鋼板の生産開始を予定していたが、同業の買収により進出が早まる。JFEによると、インドの方向性電磁鋼板の市場は22年の30万トンから30年には50万トン近くまで伸びる見込み。
世界鉄鋼協会は24年と25年の世界鋼材需要の成長率はそれぞれ前年比1%台になるとみている。日本では市場が縮小し、中国でも需要が低迷するなか、インフラの建設が盛んなインドは例外的に年率8%の高成長が続いている。
インド市場を巡っては、日本製鉄も欧州アルセロール・ミタルと共同で19年に現地製鉄大手を約7700億円で買収し、足元では2基の高炉の建設を進めている。
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