【ヒューストン=花房良祐】航空機大手の米ボーイングは19日、労働組合に対して4年間で35%の賃上げを含む新たな労働協約案を提案した。労組は23日に組合員の投票にかける。可決されれば、1カ月以上にわたるストライキが終結する。
労組執行部は9月8日に25%の賃上げで会社側と暫定合意したものの、当初40%の賃上げを目指していた執行部の譲歩に批判が集まり、組合員による投票では9割以上が合意案に反対した。その結果、9月13日から西部ワシントン州の工場などで3万人以上が16年ぶりのストライキに突入した。
会社側が今回労組執行部に提案した新たな労働協約案では、賃上げに加え、当初の提案では廃止する予定だった賞与を復活させた。組合員1人あたり7000ドル(約104万円)の一時金を支払う。確定拠出年金への会社の拠出も積み増す。
ストが米経済に与える影響は大きく、バイデン政権が交渉を仲介していた。労組執行部は19日、会社の提案について「検討に値する」とのコメントを公表した。
ボーイングはストの影響で小型機「737MAX」や中型機「767」、大型機「777」、軍用機の生産を停止。1カ月で約10億ドルの資金が流出したとの推計もある。
同社はコスト節減のために約1万7000人をリストラすると発表したほか、新株や社債の発行で3年間で最大250億ドルの資金調達をする方針も表明した。7〜9月期には民間機と防衛宇宙部門で数十億ドルの損失を計上する見通しだ。
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