食品企業や大学でつくる一般社団法人の細胞農業研究機構(東京・中央)は21日、培養肉など細胞性食品のルールづくりを加速するよう政府に提言したと発表した。米国などで先行するルールが日本にはなく、研究開発が滞る恐れがある。機構は企業向け相談窓口を2025年度までに設けることや企業が取る手続きの明示などを求めた。
提言は食品衛生基準を審査する消費者庁とフードテック企業を育成する農林水産省、水産庁に提出した。
動物の細胞を増やしてつくる培養肉は世界の人口増加と気候変動に伴う食料危機の対応策として期待される。シンガポールや米国、イスラエルは規制当局の審査などルールをつくり販売を許可したが、日本にはルールがなく販売もされていない。
企業が研究開発の投資に二の足を踏み、海外勢に後れを取る恐れがある。政府のルールづくりに必要な情報も足りない。政府は培養肉の製造で考慮すべき点をまとめた「ガイダンス」を作る方針を2024年2月に示したものの、日程などは未定だ。
細胞農業研究機構の吉富愛望アビガイル代表理事は21日の説明会で「情報の整理などで政府に協力し、停滞する議論を加速させたい」と話した。
細胞農業研究機構には日本ハムやマルハニチロ、明治ホールディングスなど大手食品メーカー、東京大学など学術機関の研究者らが参加している。
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