跨線橋(こせんきょう)の点検業務を巡る入札で談合した疑いが強まったとして、公正取引委員会は22日、JR東海(名古屋市)と同社子会社など計6社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査に入った。関係者への取材で判明した。
JRグループが独禁法違反の疑いで公取委の立ち入り検査を受けるのは初とみられる。JR東海が入札に参加したり、直接受注したりした実績はないものの、公取委は何らかの形で談合に関わったとみている模様だ。
他の立ち入り検査先は、JR東海が100%出資するジェイアール東海コンサルタンツ(名古屋市)▽大日コンサルタント(岐阜市)▽トーニチコンサルタント(東京都渋谷区)▽日本交通技術(同台東区)▽丸栄調査設計(三重県松阪市)――の建設コンサルタント5社。
談合の疑いがあるのは国や東海地方の自治体などが発注した指名競争入札で、6社は翌年度の計画を把握して情報交換し、受注する会社や各社の入札価格などをあらかじめ調整していたとみられる。対象の跨線橋は愛知県や岐阜県、長野県、三重県、静岡県などに所在し、東海道線や飯田線、武豊線などJR東海が管理する10路線におよぶ。建設コンサルタント各社はそれぞれ本社などが所在する自治体の点検業務の受注をもくろむなどし、利害関係が一致した可能性がある。
跨線橋の点検業務は自動車や歩行者の安全のため、劣化状況などを把握するのが目的。自動車用は、2012年に9人が死亡した中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井板崩落事故を受けて定期的な点検が義務化され、歩行者用については各自治体の判断に委ねられている。【渡辺暢】
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