【ニューヨーク=西邨紘子】工業製品・事務用品大手の米スリーエム(3M)が22日発表した7〜9月期の決算は、売上高が前年同期と比べ0.4%増の62億9400万ドル(約9500億円)で、最終損益は前年同期の20億7500万ドルの赤字から13億7200万ドルの黒字に転じた。建材や電気機器用部材など、産業材の販売回復が寄与した。
2023年に着手したコスト削減策の効果もあり、営業利益率は前年同期の21.6%から23%に改善した。為替の影響などを除いた調整後ベースの1株利益は1.98ドルで、前年同期の1.68ドルに加え、市場予想(1.90ドル程度)を共に上回った。
内訳では産業用品を取り扱う主要2部門で、特殊要因を除いた売上高が前年同期比でプラスとなった。電気機器や建築用材の販売回復が寄与した。一方、オフィス用品や日用品を含む「消費者向け」部門は1%の減収だった。
24年12月通期の業績予想は特殊要因調整後で1株当たり7.20〜7.30ドルとし、前回予想(7.00〜7.30ドル)から下限を引き上げた。
3Mはコスト削減策にメドをつけ、新商品強化に向けた開発に注力し始めている。ビル・ブラウン最高経営責任者(CEO)は22日開いた決算説明会で、研究開発(R&D)部門内で100人の人員を再配置したと説明した。24年に投入する新商品の数を前年比で最大1割増にするという。
このほどリモート勤務の条件を変え、管理職に週3回出社を求める方針を打ち出した。ブラウンCEOは多くの顧客が既にオフィス勤務に戻っているとして「対人での対応が必要だ」と施策の理由を説明した。
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