KDDIは24日、米スペースXの衛星通信網「スターリンク」とスマートフォンを直接通信する実証実験に成功したと発表した。国内の通信事業者としては初めてで、文章データを送受信した。今後は音声通話や動画データのやり取りにも対応し、2024年内の実用化を目指す。
沖縄県久米島町で23日に実験した。スペースXの衛星が近づくと直接通信が始まり、スマホ画面の電波を示す表示が「SpaceX-au」に変わった。その後、スマホ間でメッセージをやり取りした。
スターリンクは通常よりも低い軌道を飛ぶ衛星網で、競合サービスに比べ高速で遅延の少ない通信ができる。携帯基地局がカバーしていない山間部や海上での通信のほか、災害で基地局が壊れた際などに活用されている。
ただ、衛星の電波を中継する専用アンテナがなければ使えない点が課題だった。KDDIはもともと持っていた周波数帯をスターリンクでも使えるように申請し、総務省が受理した。これにより、専用アンテナがなくても直接通信できるようになった。
24年内の提供開始を目指すサービスの詳細は今後詰める。実証実験を統括したKDDIの松田浩路取締役は「追加料金などがかからず、標準的なサービスとして使ってもらう方法を考えている」と述べた。
KDDIは22年から法人向けにスターリンクの代理販売を始めた。災害時の通信環境を確保したい自治体などを顧客に持つ。9月に石川県で発生した能登豪雨でもスターリンクを活用した。
空から通信の空白地帯をなくそうとする取り組みは広がっている。楽天モバイルは米国の衛星スタートアップと組み、衛星とスマホの直接通信サービスを26年に始める予定だ。NTTドコモは無人航空機を飛ばして地上と通信する「空飛ぶ基地局」(HAPS)を26年に商用化する。
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