【ヒューストン=花房良祐】航空機大手の米ボーイングの労働組合は23日、35%の賃上げなどを柱とする労働協約を巡る組合員投票を実施し、64%が反対した。米西部ワシントン州シアトル郊外などの工場郡で9月中旬から続く16年ぶりのストライキは継続し、小型機「737MAX」や大型機「777」、軍用機などの生産は滞った状態が続く。
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ボーイングと3万人以上が加盟する労組は新たな労働協約の策定に向けて交渉を実施したが、シアトル郊外などの工場郡が1カ月以上にわたるストに突入した。主力の航空機が生産できなくなり、ボーイングは大幅な損失を計上した。
労組執行部は9月上旬に4年間で25%の賃上げなどを柱とする協約案で会社と暫定合意に達したが、40%賃上げの要求水準から譲歩した執行部に対する批判が組合員の間から噴出。組合投票で否決された経緯があった。
労組執行部は改めて40%の賃上げ要求などを掲げ、双方が歩み寄れるかが焦点だった。交渉の進展は遅かったが、バイデン政権が仲介に乗り出し、労組執行部が受け入れ可能とみた案を会社が提示した。
最終的には35%賃上げの案を会社が提案したが、組合員が反対して否決された格好だ。ボーイングはこのほかに確定拠出年金の会社拠出の積み増し盛り込んだほか、当初廃止を予定していた賞与を復活させた。1カ月以上にわたるストの間にボーイングの手元資金は流出して財務が悪化。会社は経営の立て直しに追われている。
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