秋の読書週間が始まる27日は「読書の日」。気になる一冊を求めて書店に足を運びたくなるところだが、書店の経営は全国的に逆風にさらされている。
東京商工リサーチによると、全国の主な書店261社の2023年度の最終(当期)損益は合計17億9800万円の赤字(前期は24億2600万円の赤字)に落ち込んだ。赤字は3期連続で、赤字企業は全体の約3割(75社)を占めた。売上高も合計6385億1000万円(前期比2・1%減)と減収で、増収企業は全体の4分の1に当たる67社にとどまった。横ばいは67社で、減収は127社と半数近くに上った。
コミックを中心に電子書籍の販売が伸びるなか、とりわけ紙の本を扱う書店が苦戦している。加えて中小零細の書店では、大手との間で経営格差も目立つ。
売上高のランキングでは紀伊国屋書店(1002億円)▽丸善ジュンク堂書店(663億円)▽有隣堂(520億円)――と上位3社で全体の3割強を占めた。大手は電子書籍のオンライン販売や海外展開など幅広い事業でテコ入れを図っているが、小規模書店の多くは地域密着型の経営で、こうした対応は難しい。
一方、23年に倒産や休廃業した書店は計67社で、新設数(48社)を10年連続で上回った。国内の書店数は03年に約2万店あったが、23年は約1万店と20年間で半減。倒産の数は、20年以降は新型コロナウイルス禍に伴う巣ごもり需要などで一時的に歯止めがかかっていたが、再び増加傾向に転じている。
こうしたなか、都心部を中心に、店主の目利きが光るセレクト型の書店や、著者の講演などのイベントに注力する書店もみられる。東京商工リサーチの担当者は「書店独自のアイデアと業界の知恵の結集が欠かせない」と指摘する。【杉山雄飛】
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