日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物)を現行の0・25%程度に据え置くことを決めた。11月5日に米大統領選を控え、国内の政治情勢も不安定なため、金融市場は不透明感が強まっている。次回の12月会合以降に利上げの機会をうかがう。
会合後に記者会見した植田和男総裁は、金融政策維持の理由について「海外経済の今後の展開を注視し、経済・物価見通しを見極める」と説明した。
追加利上げを決めた7月会合後には米国の景気後退懸念が高まり、為替と株価が乱高下した。前回の9月会合では植田氏は「(利上げの判断に)時間的余裕がある」と市場動向を注視する姿勢を見せ、円安が進んだ。
31日の会見で植田氏は「(市場の)リスクの度合いは少しずつ下がっている」と指摘し「今後は『時間的余裕』という表現は使わない」と述べ、利上げに前向きな姿勢を見せた。
このため会見中から円高が進み、午後5時時点の東京外国為替市場の円相場は、前日比1円08銭円高・ドル安の1ドル=152円24~26銭で取引された。
次の利上げのタイミングについて植田氏は「毎回の会合までに入る(経済や物価の)情報で判断する」と述べ、次回を含め早期の実施に含みを持たせた。
日本経済の中長期の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表し、2025年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率の見通しを前年度比1・9%とした。原油価格の下落などを反映し、前回(7月)から0・2ポイント引き下げた。一方、26年度の見通しは1・9%で据え置いた。【竹地広憲、浅川大樹】
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