カナダの新工場では2027年に生産を始める予定だ(旭化成のセパレーター)

旭化成は1日、カナダに新設する電気自動車(EV)向け電池の主要材料の工場に、ホンダが25%出資すると発表した。製品を確保する権利も合わせ、ホンダは合計で約4億1700万カナダドル(約456億円)を拠出する。補助金なども踏まえ旭化成の拠出は総額の半分以下となる。足元ではEV市場は失速気味だが、中長期的な成長を見込み2027年に生産を始める予定だ。

旭化成は4月に1800億円を投じてカナダに「セパレーター(絶縁材)」の新工場を建て、製造会社にホンダも出資し秋までに額を決めると発表していた。ホンダは製造会社への出資で約6000万カナダドル、期間や規模は非公表だが製品を確保する権利を取得するために約3億5700万カナダドルをそれぞれ拠出する。新工場への総投資額の25%に相当する。

他にも日本政策投資銀行(DBJ)が280億円出資し、カナダ政府などからの補助金も約4億カナダドル受ける。総投資額の半分以上を外部資本からまかなうことで投資リスクを抑え、30年代前半の投資回収を想定している。

足元ではEV市場は減速し、セパレーター事業の売上高や収益性は落ちている。旭化成の堀江俊保代表取締役は同日の決算会見で「中長期的なEV化の流れは変わらない」とし、まずはコスト削減などに取り組むとした。

カナダ工場については当初は連続して増設する考えで第2期の投資は24年度内をめどに決めるとしていたが、「市場を見ながら堅実に実施し、損益への影響はなるべくない形に努める」とした。

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