島根原発2号機で進む燃料装荷作業(1日、松江市)=代表撮影

中国電力の島根原子力発電所2号機(松江市)再稼働へ向けた準備が最終段階に入っている。同社は1日、燃料装荷の作業を報道陣に公開した。再稼働は12月上旬の予定で、電力安定供給や脱炭素につながる一方、使用済み核燃料をどう処理するかといった課題の解決も必要になる。

作業は10月28日から始まっており、約1週間かけて計560本を移す予定だ。11月1日朝の時点で303本の装荷が完了しているという。

この日は、核燃料を束ねた長さ4.5メートルの燃料集合体を、燃料取替機と呼ばれるクレーンを使って一つずつ原子炉圧力容器に移していた。燃料プールと隣接する圧力容器は水が満たされ、放射線の発生を抑えるため水中移動で装荷していく。

作業員7人のチームが3交代で、24時間体制で燃料装荷を進めている。作業は自動化されており、クレーンの上から作業員が目視で、確実に装荷されているかを確認していた。

島根原子力発電所の岩崎晃所長は「作業は順調に進んでいる。計画ありきでなく、一つ一つのステップを確実に確認しながら、安全第一で進めていきたい」と語った。

燃料を装荷した後、原子炉の圧力容器や原子炉を覆う格納容器を組み立てる。漏洩がないかなどの検査も実施する。改めて原子力規制委の確認を経たうえで、12月上旬にも原子炉を起動させて発電する試験運転の工程に移る。

2号機は約13年にわたって運転を停止していたことから、試験運転後にいったん原子炉を止めて、改めて不具合などがないか確認する予定だ。営業運転の再開は1月上旬ごろを見込んでいる。

2号機が再稼働すれば、電力の安定供給のほか、地域の脱炭素化にもつながる。中国電は年間を通じて再稼働した場合、約250万トンの二酸化炭素(CO2)を削減できると試算する。およそ90万世帯分の年間排出量に相当する。

再稼働により、使用済み核燃料の問題も改めて浮上することになる。核燃料サイクルの中核となる再処理工場の稼働が見通せず、使用済み核燃料の大半は原発敷地内の貯蔵プールなどで保管することになる。満杯になれば発電が難しくなる事態にも陥りかねない。

そのため中国電力は山口県上関町に中間貯蔵施設の建設を検討している。文献調査やボーリングによる地質調査などが進むが、町議会などからは結果的に永久貯蔵につながりかねないとの懸念も出ている。

島根原発2号機は出力82万キロワットで、2011年に事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)。11月には女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)がBWRとして事故後初めて再稼働した。

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