青森県が検討している既存事業を含めた太陽光や陸上風力への課税について、事業者3団体は2日の県有識者会議で、「後出し課税」だと強い反対を表明した。開発を規制する区域設定でも、国より厳しい規制に反対。再生可能エネルギーの「宝庫」とされる青森の再エネ開発と保全をめぐり、県と事業者の溝が表面化した。
有識者会議で意見表明したのは、一般社団法人の日本風力発電協会、太陽光発電協会、再生可能エネルギー長期安定電源推進協会の3団体。
県は既存事業を含めた県内の太陽光、陸上風力に課税する「再エネ新税」の導入をめざしている。4月に全国で初導入した宮城県は、事業者の反発があり既設案件への課税を見送っていた。
3団体は「既存事業に再エネ新税を課されることには反対」と表明。「開発当時、将来の新税を予見できるはずもなかった。後出し課税だ」と反発、開発中の案件への課税にも反対した。
多くの再エネ事業は金融機関からの借り入れで成り立っているとし、「新税の影響は金融業界に波及し、厳しい審査を受けることになり、青森県への投資意欲が低下する」と指摘。「市町村に還元する利益を課税分に充てることを検討せざるをえない」と訴えた。
また県が、再エネ事業を実施できない「保護区域」内に自然公園区域の2、3種を含めようとしていることに、「国より厳しい規制は避けて頂きたい」と要望。「再エネ導入に積極的な市町村の意向も踏まえて」と求めた。
日本風力発電協会の斉藤長理事は会議で、「地域からの信頼と理解を前提に、引き続き丁寧な説明に基づく合意形成に努めながら再エネの健全な普及を推進し、青森県の発展に貢献していきたい」と述べた。
2022年度の県内の風力の発電量は約14・8億キロワット時と全国1位。国は再エネの「最大限の導入」を掲げる一方、景観などをめぐり住民との対立が生じている地域もある。(野田佑介)
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