日本建設業連合会(日建連、東京・中央)などは5日、大手不動産会社などが加盟する不動産協会(東京・千代田)に対して働き方改革に協力するよう要請した。建築工事では一般企業の週休2日に相当する「4週8閉所」を取り入れる現場が少ない。2024年4月に建設業で導入された残業時間の上限規制に対応しやすくする。
日建連の宮本洋一会長(清水建設会長)が全国建設業協会(東京・中央)の今井雅則会長(戸田建設会長)らとともに、不動産協会の野村正史副理事長専務理事に要請文を手渡した。4週8閉所を前提とした工期を設定することや、日給制が多い建設作業員の手取りが休日の増加で減らないよう受注金額を上積みすることなどを求めた。
日建連が23年度に加盟企業に実施した調査によると、建築工事での4週8閉所を実施した工事現場の割合は39.1%。前年度に比べて8.3ポイント上昇したものの、国や自治体が発注する公共工事の比率が高い土木工事の66.1%に比べて割合が小さい。4週あたり5閉所未満の現場も1割以上ある。
宮本会長は不動産業界の工事で4週8閉所の導入が進んでいない点を指摘。24年6月に建設従事者の賃上げや働き方改革を促す改正建設業法が成立したことなどに触れ、「サプライチェーン(供給網)全体の問題として考えてもらい、受発注者間のウィンウィンな関係の構築に協力してほしい」と述べた。
不動産協会の野村氏は「不動産業界にとっても建設業の持続可能性は非常に重要な課題」と話し、要請の内容を会員各社へ早期に周知する意向を示した。
一方で、野村氏は会員各社が建設会社と結ぶ個々の契約について「竣工の期限や工事現場の立地条件、請負事業者の事情などを勘案しながら受発注者の間で調整を行った上で決められるべきもの」と指摘。「土日に稼働する現場が今後生じざるを得ないことについて理解してもらいたい」と述べた。
全国建設業協会によると、同日の不動産協会との会合では建設業と不動産業の協力による都市整備の予算確保などが話題に上がった。大型再開発などでは資材価格の高騰に伴い事業費が当初の想定以上に膨らみ、計画を見直す事例が出始めている。
【関連記事】
- ・国内建設受注、4〜9月は3%増 残業規制で伸び率は鈍化
- ・中野サンプラザ跡再開発、計画見直し 認可申請取り下げ
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。