東京電力ホールディングスは7日、福島第1原子力発電所2号機の溶融燃料(デブリ)の試験取り出しに成功したと発表した。5ミリ程度のデブリを一時保管用の専用容器に収納し、原子炉格納容器とつながる金属製の箱から取り出した。2011年3月の東日本大震災から13年半がたち、廃炉へのわずかな一歩を踏み出した。

デブリの取り出しは、1979年に炉心溶融事故を起こした米国のスリーマイル島原発2号機以外に例がない。東電は取り出したデブリをもとに、大規模な回収方法の検討を進める。デブリは1〜3号機におよそ880トンあるとされる。

2日までにデブリをつかんだ装置を原子炉建屋内に設置した格納容器とつながる金属製の箱の中まで戻していた。5日にデブリの放射線量を測定し、回収可能な基準値を下回っていることを確認した。6日には金属製の箱の中でアルミニウム製の容器にデブリを入れる作業を実施した。

7日は金属製の箱側面の開口部を開けて容器を取り出し、別のポリエチレン製の専用コンテナに収納した。東電はコンテナへの収納が完了すれば、デブリの試験的取り出しの完了と定義している。

この先は福島第1原発の原発敷地外に運び出すための準備作業を進める。外気と遮断した環境で重さや放射線量を確認し、さらに遮蔽能力が高い特別な容器に入れて運ぶ。

デブリは国の研究機関である日本原子力研究開発機構(JAEA)の大洗研究所(茨城県大洗町)に運ぶ。数カ月程度かけて表面の元素分布などを分析する。

試験取り出しは8月の作業開始直前に装置の接続ミスが判明した。9月に着手したものの、カメラの不具合で作業を中断した。再開後の10月28日に釣りざお式装置を原子炉の格納容器内に挿入し、10月30日に装置先端の爪状の器具でデブリをつかんだ。

試験取り出しは当初、21年中に始める予定だった。機材の開発が遅れたほか、原子炉内部につながる貫通部を大量の堆積物がふさいでいることが判明するなどして3度延期していた。

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