外国為替市場では、日本とアメリカの金利差が意識される中、週明けの29日は、円安がさらに加速して、一時、34年ぶりに1ドル=160円台をつけました。

こうした中、アメリカのFRBは、30日と5月1日の2日間、金融政策を決める会合を開きます。

利下げをいつから始めるのかが大きな焦点ですが、インフレの根強さを示す経済指標が相次ぎ、市場では、FRBが6会合連続で政策金利を据え置くという予想が95%以上を占めています。

また、FRBが利下げに踏み切る時期が遅れるとの観測が日増しに強まっていて、日米の金利差が縮まらないとの見方から、円売りの圧力がかかっています。

会合後の記者会見でパウエル議長が利下げに慎重な発言をすれば、一段と円安が進みかねない状況です。

会見で、今後の利下げの道筋やインフレの現状について、パウエル議長がどのように発言するのか、会見の内容が注目されます。

リッチモンド連銀 元総裁 会合の見通しについて

アメリカのFRB=連邦準備制度理事会の今後の金融政策の見通しについて、FRBの地区連銀の1つ、リッチモンド連銀の元総裁、ジェフリー・ラッカー氏に聞きました。

Q.この数か月の間、FRBのパウエル議長の発言にはどのような変化が?

A.パウエル議長をはじめ、会合のメンバーは、去年末時点で低下していたインフレ率が物価目標の2%に向かって、このまま下がり続けるだろうと、とても期待していたと思います。
FRBは希望を抱き、2024年には利下げができるだろうと伝えました。

金利が高い水準が続くことで、景気後退に陥るリスクを避けたかったという考えもあったと思います。

しかし、現実はそうならず、むしろ再びインフレ率は上昇し始めたため、市場で広がっていた利下げ期待を引き戻す必要が出てきたのです。

Q.なぜ、これほどインフレは根強いのでしょうか。

A.個人消費の中で、大きな比重を占めるサービス分野で価格が下がらないことが要因です。

サービス分野の価格は人件費によって大きく左右されますが、賃金の水準はFRBの物価目標の2%に見あうほど減速していません。
このため、この数か月間インフレ率が下がらない状況が続いているのです。

Q.市場では利下げの開始時期が遅れるとの見方が強まっています。今後の利下げについて見通しを教えてください。

A.年内には利下げが行われない可能性が高く、利下げできるとしても、12月の会合の1回だけでしょう。
2回の利下げは、ありえないと思います。

雇用が予想以上に伸びていることは1つのシグナルで、賃金の上昇につながり、インフレに拍車を掛ける形になっています。

インフレ率が再び上昇し始めたことは、現在の政策金利の水準が、人々が考えるほど金融引き締め的ではないという事実を表していると思います。
インフレ率が下がらなければ、利上げを実施する必要も出てきます。

しばらく、この水準を維持してインフレの推移を見守る必要があると考えています。

Q.高い金利水準を維持すれば、景気後退に陥るリスクを心配する必要が出てくるのではないですか?

A.景気後退のリスクが、インフレ率によって大きく上昇するシナリオはあります。

予想以上に個人消費が強く、インフレを押し上げることになれば、積極的に利上げを行わなければなりません。
これは、もっとも可能性が高いシナリオではありませんが、ありえない話ではないと思います。

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