ライフコーポレーションは2030年度までに、健康に配慮した高付加価値のプライベートブランド(PB)を中心としたビオラル事業の売上高を400億円にする。23年度の約4倍で、PBのビオラル商品のアイテム数は約3倍の1000品規模にする。消費者ニーズが大きい分野で独自商品の開発を加速し、安売り競争から脱却して持続的な成長につなげる。
首都圏・近畿圏300店の成長の柱に
「ビオラルの拡大がライフの成長につながり、差別化戦略の柱になる」
首都圏や近畿圏で計300店強を展開しているライフのビオラル事業本部長、海野紀明執行役員はこう意気込む。
ビオラルは20年12月に誕生したライフのPBで、オーガニックやヘルシーなどをコンセプトに健康や環境に配慮した商品を展開している。商品数は8月末時点で約380に上る。
製造工程で発色剤を使わない「無えんせきあらびきポークウインナー」(365円)、有機栽培のブルーアガベを100%使った天然甘味料「有機アガベシロップ」(591円)、着色料なしで国産果汁を使う「てんさい糖使用のみかんグミ」(213円)など、こだわりの商品がそろう。食品添加物をなるべく使わない弁当や総菜、自然由来の成分を使った化粧品など幅も広がる。
新型コロナウイルス下での健康志向の高まり、食生活の見直しなどでオーガニック食品の市場は拡大している。矢野経済研究所によると、オーガニック食品の市場規模は24年度に19年度比13%増の1633億円を見込む。27年度には24年度比6%増の1736億円になると予測している。
日本のオーガニック市場「20~30倍になる可能性」
ライフの岩崎高治社長は「欧米と比べると日本のオーガニックの市場は今の20〜30倍に拡大する可能性がある」と期待を寄せる。
実際、PBのビオラル商品の24年3〜8月期の売上高は44億円と前年同期比で33%も増えた。伸び率は連結売上高(同5.3%増)やPB全体の売上高(同11%増)と比べて大きい。通常の商品よりは価格帯が高めのケースが多い。だがオーガニック専門店などに比べると、身近な店舗で手の届きやすい価格で展開しており、消費者の潜在ニーズを捉えて、節約志向が強まる中でも成長を続けている。
ライフは3月にビオラルの商品開発や店舗運営を統括する部署として、ビオラル事業本部を新設した。本格的に展開し、26年度までの4カ年の中期経営計画で掲げた「同質化競争からの脱却」の中心的な役割を担うとしている。
売り場での存在感も高めていく。首都圏と近畿圏にある300店超のうち、すでに9割以上の店にビオラル商品を取り扱うコーナーを設置している。またビオラル商品を中心に健康志向の品を扱う単独店も東京都と大阪府で計9店あり、30年までに50店まで広げる。
ビオラルは駅前商業施設や百貨店内への出店が中心のため、建築資材などが高騰している中でも比較的軽い投資で出店できるという。拡大の余地が大きいとみている。
有機の総菜量り売り、弁当なども
今年3月に開いたビオラル国立駅前店(東京都国立市)では、3〜8月の売上高が計画比1.8倍と好調だ。ビオラルの調味料や店内で売っている有機野菜、肉などを使った総菜の量り売りも展開している。有機玄米を使った弁当など、学生や仕事帰りの主婦などの即食ニーズにも対応している。
海野執行役員は「原料や商品の開発を進めたうえで、(商品を効率的に展開するための)サテライトキッチン機能の拡充や販路の拡大も考えていきたい」と語る。
(佐藤優衣)
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