【ヒューストン=花房良祐】石油メジャーである米エクソンモービルのダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)が、米国がパリ協定から離脱することに反対すると表明したことが12日明らかになった。米大統領選に勝利したトランプ前大統領は離脱方針で、これをけん制した。エクソンは低炭素ビジネスに投資しており、米政権に環境・エネルギー政策の一貫性を求めた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが12日報じた。温暖化ガスの排出抑制を目指すパリ協定については、第1次トランプ政権が脱退し、バイデン政権が再加盟した。トランプ氏は再び脱退する方針と伝えられている。
ウッズ氏はトランプ氏の離脱方針について「(環境政策が)停止したり始動したりするのはビジネスにとって良くない」と話した。政権交代のたびに環境政策の振れが大きくなっており、「極めて非効率的で、不透明性が生まれる」と批判した。
エクソンなど石油業界は石油開発に寛容な共和党への支持が多いことで知られ、民主党より共和党への献金額が多い。
一方、脱炭素への投資家の注目度は高く、エクソンも次世代エネルギーの水素・アンモニアといった低炭素ビジネスに22〜27年に200億ドル(約3兆1000億円)を投資する方針だ。新規事業を育成するなかで、トランプ氏に政策の継続性を注文した格好だ。
ウッズ氏は第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)を開催中のアゼルバイジャンを訪問している。主要国の指導者層らと環境政策や低炭素ビジネスについて意見交換する予定だ。ウッズ氏がCOPに参加するのは23年に続いて2回目となる。
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