【ニューヨーク=川上梓】独フォルクスワーゲン(VW)は12日、次世代電気自動車(EV)やソフトウエアで提携を計画する米新興EVのリヴィアン・オートモーティブへの出資を増やすと発表した。出資額を当初計画の最大50億ドル(約8000億円)から58億ドル(約8900億円)に引き上げる。早ければ2027年にVWブランドで次世代EVを発売することを目指す。
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両社は6月に提携を発表した。12日付でソフトなどの共同開発を目指す新会社の設立契約を結んだ。新会社の本社はカリフォルニア州で13日から事業を始める。社名は「リヴィアン・アンド・VWグループ・テクノロジー」とする。リヴィアンのワシム・ベンセイド氏とVWのカーステン・ヘルビング氏が共同最高経営責任者(CEO)に就く。
新会社は今後、EVに使う共通のプラットホームやソフトの開発を目指すほか、世界で開発競争が進む高度な自動運転技術の開発も検討する。
新会社の技術を採用したEVをまず、26年上半期にリヴィアンブランド「R2」で発売。その後、早ければ27年までにVWブランドで採用し、次世代EVとして発売する。
VWはVWブランドに加え、今後は高級車ブランド「アウディ」でも新会社の技術を採用する。将来的には両社の全EVでプラットホームやソフトの共通化を目指す。
VWグループのオリバー・ブルーメCEOは12日の声明で、「幅広い価格帯、市場、ブランドでリヴィアンの技術を活用することを期待している」とコメントした。
VWはデジタル戦略やEV開発で誤算が続いていた。アウディやポルシェの高級EV投入が計画より2年ほど後ずれしたことに加え、グループで共通のソフト基盤を活用する予定だった手ごろな価格のEVの開発も遅れた。販売不振で、お膝元のドイツでは少なくとも3工場の閉鎖や数万人の人員削減を含むリストラ案を明らかにしている。
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