PHCホールディングス(HD)は13日、2028年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。投下資本利益率(ROIC)を8%に引き上げる。3つの事業領域のうち、診断・ライフサイエンスを重点分野に置き、成長につなげる。営業利益率は現状の5%から8〜10%への引き上げを目指す。

投資の管理にROICを活用する。24年3月期時点では1%未満だったが、28年3月期に8%以上を目指す。細胞培養の機器や病理診断、診断薬を取り扱うライフサイエンスを成長領域と位置づけ、重点的に投資をする。

1株当たり利益(EPS)は、25年3月期の見通しが81円なのに対し、28年3月期には2倍以上への引き上げを目指す。

全社横断で構造改革にも取り組む。事業部ごとに分かれていたサプライチェーン(供給網)の見直しや調達の効率化を進める。営業利益ベースで80億〜120億円のコスト削減効果を見込む。

配当性向の見直しも発表した。配当性向30%以上を目安としていたが、今後は業績や資金状況を総合的に勘案し決定するとした。同日の説明会で出口恭子社長は「財務基盤を安定させ、長期的な企業価値の向上につなげる」と説明した。

22年11月に発表した中計では、26年3月期に売上高にあたる売上収益が4200億円、営業利益は560億円を目標に掲げていた。現状では25年3月期の通期の予想で売上収益が3600億円、営業利益が191億円と目標達成が難しくなっている。新中計では売上収益の目標は設定せず、ROICなどの指標を重視する。

同日発表した24年4〜9月期の連結決算は売上収益が前年同期比4%増の1738億円、最終損益が41億円の黒字(前年同期は24億円の赤字)だった。23年10月の電子カルテ事業買収の効果などが出た。為替差益12億円も計上した。

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