堺市は家庭から出る廃食油を再生航空燃料(SAF)用に回収する取り組みに乗り出す。まず12月にイオンモールの2カ所で回収を始め、順次拠点を増やす。市内ではコスモ石油などが日本初の本格的なSAFの製造プラントを2025年春に稼働させる計画で、お膝元として原料の供給体制を整える。
各家庭では油の熱を冷まして、食べ物のかすなどを取り除く。それを空のペットボトルに詰めて、回収場所にある専用ボックスに入れる。あとは業者が巡回して回収し、コスモ石油堺製油所内にあるSAFの製造プラントまで運ぶ。回収に協力した家庭にはプレゼント抽選に参加できる市のポイントが付与される。
SAFの製造は、コスモ石油、日揮ホールディングス、レボインターナショナルが共同出資で設立したサファイア・スカイ・エナジー(横浜市)が担う。堺市はこれらの出資元3社との間で協定を結び、油の安全な取り扱いを求めるとともに、市内の家庭に参加を呼びかける。
堺市で家庭の廃食油を回収するのは初めて。同市によれば、市内の全家庭で発生する廃食油は年間660トン程度。ほかの自治体はすでにバイオディーゼルやせっけんの原料として家庭の廃食油を回収している。サファイア・スカイ・エナジーは家庭だけでなく、外食など事業所からも原料を調達する。
【関連記事】
- ・航空燃料SAFが試す安全保障 「天ぷら油で飛ぶ」死角とは
- ・国産SAF、始まった原料の獲得競争 コスモ量産引き金に
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。