日本から海外市場を目指すスタートアップを創出することも目的の一つで、イベントは英語で実施した(15日、大阪市)

経済産業省や近畿経済産業局などは15日、大阪市内で米国の著名ベンチャーキャピタル(VC)の投資家らが集うスタートアップイベントを開催した。登壇したBキャピタルのカラン・モーラ氏は「海外のファンドが日本に関心を示している。もう資金(の不足)は言い訳にはならない」と語った。海外マネーも活用して世界的な企業を生み出せるかが課題となる。

アンドリーセン・ホロウィッツで人工知能(AI)などに投資するオリバー・シュウ氏は「エコシステム(生態系)は人でできている。人材が優秀であれば、顧客や資本なども自然とついてくる」と指摘。「象徴的な日本の起業家が次世代の日本企業を生み出すことを期待している」と話した。

イベントは9月に開業したJR大阪駅北側の「グラングリーン大阪」にあるイノベーション施設「JAM BASE(ジャムベース)」で開催された。会場には国内外から100人以上が集まった。

調査会社のCBインサイツによると、9月時点で日本のユニコーン(企業価値が1億ドル以上の未上場企業)はAIスタートアップのPreferred Networks(プリファードネットワークス、東京・千代田)など8社だ。米国(676社)や中国(164社)だけでなく、インド(71社)、英国(54社)、ドイツ(31社)、フランス(27社)、韓国(14社)にも水をあけられている。

ユニコーンが少ない理由として、スタートアップへの投資資金の不足が一因とされる。情報データベースの「スピーダ スタートアップ情報リサーチ」によると、2023年の国内の資金調達額は7536億円だった。米調査会社ピッチブックと全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)によると、米国では23年にスタートアップへの投資額が1706億ドル(約24兆円)と日本の30倍以上だ。

注目されている国内のスタートアップが海外の著名VCから大型の資金調達をする例も出てきた。24年に入って米グーグル出身のAI研究者らが設立したサカナAI(東京・港)は米コースラ・ベンチャーズなどから約200億円を調達した。飲食店の業務効率化を支援するダイニー(東京・港)も米ベッセマー・ベンチャー・パートナーズなどから約75億円を調達した。

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