【シリコンバレー=渡辺直樹】米連邦取引委員会(FTC)が米マイクロソフトのクラウドコンピューティング事業に対し、公平な競争を妨げる商慣習があったとして調査の準備を始めたことが15日わかった。英紙フィナンシャル・タイムズやロイター通信が報じた。
マイクロソフトはインターネット経由で企業などに様々なソフトを提供するクラウドサービス「アジュール」に力を入れている。報道によると、FTCは同社が顧客に対し、他社のサービスに移りにくいような料金を課している点を調査するという。
顧客がサービス契約を取りやめた場合に高額な料金を課すほか、競合するクラウドとマイクロソフトのビジネスソフトとの互換性をなくすようにしている点も問題視しているという。
FTCはバイデン米政権下で対テック企業強硬派で知られるリナ・カーン委員長を中心に、反トラスト法(独占禁止法)違反を念頭に置いた調査や訴訟を通じてアマゾン・ドット・コムやメタといった米巨大テック企業の独占的な商慣習に対抗してきた。
カーン氏はトランプ新政権では退任が予想されている。政権末期でもあえて調査に乗り出すことで、新政権でも巨大テック企業をけん制する流れを継続させようとする狙いがあるとみられる。
FTCはマイクロソフトに対しこれまで米ゲーム大手の巨額買収を阻止するため、裁判所に差し止めを求めて争った経緯がある。
マイクロソフトはコメントに応じなかった。
【関連記事】
- ・米FTC、サブスクの「ワンクリック解約」義務化
- ・米当局、カナダ社のセブン買収提案を調査へ 通信社報道
- ・米司法省、NVIDIAに強制調査 反トラスト法視野と報道
- ・Google「解体論」の是非争う 独占解消策の審理開始へ
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。