藤田医科大学病院(愛知県豊明市)は30日、放射性物質を含む薬剤を患者に投与してがんなどを診断・治療する「セラノスティクスセンター」の開所式を開いた。放射性医薬品のもとになる「核種」の製造から放射性医薬品の合成、患者への投与を一元的に集約した施設は国内初という。5月1日から本格稼働する。
センターは放射線治療の一分野である核医学の臨床・研究施設。放射性物質を含んだ薬剤を静脈注射や服薬で患者の体内に投与し、薬剤ががんなどの病巣や臓器に集まる様子を可視化して診断や治療につなげる。
センター1階には核種を製造する「サイクロトロン(粒子加速器)」や、核種を特殊な薬剤と合成して放射性医薬品を作る「標識合成装置」を設置した。2階に放射性医薬品を患者に投与する部屋がある。
すでに放射性医薬品を使った神経内分泌腫瘍の治療を始めている。アルツハイマー病や前立腺がん、脳腫瘍の診断に使う放射性医薬品は現時点で同センターで合成できるという。今後は前立腺がんなど治療の対象とする疾患を順次広げる。
藤田医科大を運営する藤田学園の星長清隆理事長は30日の開所式で「放射性医薬品を用いた最新の医療技術を駆使し、革新的なアプローチで患者の療養生活を向上させられる」と説明。「医療の未来に新たな一歩を踏み出すことを意味する」と強調した。
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