ブルームバーグ通信は司法省がグーグルにブラウザー「クローム」の売却を迫る可能性を報じた=ロイター

【シリコンバレー=渡辺直樹】米司法省が米グーグルの検索サービスの独占是正策として、ウェブ閲覧ソフト(ブラウザー)「クローム」事業の売却命令を裁判所に求めることが18日、わかった。米ブルームバーグ通信が報じた。様々なネットサービスを組み合わせ肥大化する巨大テクノロジー企業に対し、企業構造の変更を強いる厳しい措置で対抗する。

米首都ワシントンの連邦地方裁判所は8月、グーグルの検索サービスが反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとする一審判決を出した。原告側の司法省は勝訴を受け、グーグルの独占状態を解消するため、是正策を近く裁判所に提出する予定だ。

国が事業売却や分割といった企業構造そのものの見直しを求めるのは2000年のマイクロソフトの独禁訴訟以来、四半世紀ぶりとなる。

ブルームバーグによると、司法省の是正策は検索関連のデータを外部に供与することや、グーグルによる生成AIの学習へのコンテンツ利用をウェブサイト側が拒否できるようにすることを含む予定だという。スマートフォンで検索やアプリストアのアプリを基本ソフト(OS)とセットで提供しないようにも求める。

グーグルは検索で9割、閲覧ソフトで6割のシェアを持つ。司法省は事業売却やサービスのセット提供を制限することで、他社が参入しにくくするビジネスモデルそのものにメスを入れていきたい考えだ。

司法省はコメントしなかった。

グーグルは「司法省は今回の訴訟をはるかに超えた過激な事項を押し進め続けている。政府がこのような形で不当に影響力を行使していくことは、消費者、開発者に悪影響を及ぼし、米国の技術的地位をまさにそれが最も必要とされている時に害することになる」とリー・マルホランド規制関連担当副社長がコメントした。

グーグル側も12月にかけて是正策を提出する見込みだ。連邦地裁のアミット・メータ裁判長は25年8月までに両者の案を検討し、結論を出す。グーグルは控訴を計画しており、最終的な結論は最高裁までもつれ込む可能性もある。

訴訟は20年にトランプ政権時代に始まり、バイデン政権に引き継がれた。今後トランプ新政権での対応が焦点になる。

トランプ氏は巨大テック企業への強硬姿勢で知られるブレンダン・カー氏を米連邦通信委員会(FCC)の次期トップに指名した。巨大テック企業へのけん制は継続するとの見方が強い。

トランプ氏は10月にシカゴで開かれたイベントで、グーグルの分割案に対し「もしそんなことをしたら会社を潰してしまうのではないか。会社を潰さずにできることはより公平にすることだ」とも述べている。

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