石油化学工業協会(東京・中央)は21日、エチレン生産設備の10月の稼働率が77.4%(速報ベース)だったと発表した。好不況の目安とされる90%を27カ月連続で下回り、データがある1991年以降で最長となった。中国の増産が響いて低迷が続き、化学各社は生産体制を見直している。
エチレンは自動車や家電など耐久消費財や日用品などに使われる合成樹脂の原料となる。10月の生産量は前年同月比7.4%減の41万4500トンだった。稼働率の90%割れはこれまで最長だった2011年10月から13年11月までの26カ月連続を超えた。1〜10月の累計は前年同期比6.5%減の408万6000トンだった
21日の記者会見で石化協の工藤幸四郎会長(旭化成社長)は稼働率の90%超えがいつになるか見通せないとした上で、「構造転換や生産性の向上、付加価値の創出など複合的な解決策を進めていくことが重要だ」とした。
中国の増産による供給過剰が続いていることを受け、各社は生産体制の適正化を進めている。2024年に入り三井化学と出光興産が千葉県で1基を止める方針を示した。同県では丸善石油化学が単独で運営する1基を最短で26年度中に止め、住友化学と運営する設備に集約する方向で検討している。
西日本では地域をまたいだ連携も進む。大阪府と岡山県に設備を持つ三井化学、旭化成、三菱ケミカルグループの3社が生産量の適正化も視野に共同事業体を設ける。脱炭素と再編を同時に進める場合に政府も支援する方針だ。
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