政府は22日の臨時閣議で、物価高対策や国内投資の促進策などを盛り込んだ総合経済対策を決定した。財源の裏付けとなる2024年度補正予算案に一般会計で13兆9000億円を計上する。自民、公明、国民民主の3党による政策協議を経て取りまとめた経済対策の実行に向け、3党は補正予算の早期成立でも合意している。政府は28日召集の臨時国会に補正予算案を提出し、年内の成立を目指す。
特別会計や財政投融資などを合わせた財政支出は21兆9000億円程度、金融機関の融資や民間の投資なども含めた事業規模は39兆円程度を見込む。一般会計支出、事業規模とも23年度の経済対策を上回る大型対策となった。財源の多くは追加の国債発行に頼ることになると見られる。
経済対策は、国内投資拡大などによる成長を目指す「日本経済・地方経済の成長」▽給付や補助金による「物価高の克服」▽能登半島地震からの復興・復旧対策を含む「国民の安心・安全の確保」――の3本柱。
石破茂首相は臨時閣議前の同日午前に首相官邸で開いた政府与党政策懇談会で「全ての世代の現在や将来の賃金、所得を増やすことを最重要課題としている。コストカット型経済から脱却し、高付加価値創出型経済への移行を確実にすることを目指したものだ」と経済対策の意義を強調した。
物価高対策の一般会計支出は3兆4000億円とした。約1400万世帯ある住民税非課税世帯に給付金3万円を支給し、子育て世帯には子ども1人当たり2万円を加算する。10月分までで終了していた電気・ガスの補助金を来年1~3月に再開するほか、年内までとしていたガソリン補助金は、12月から補助額を段階的に縮小しながら当面継続する。
投資拡大などの成長戦略の一般会計支出は5兆8000億円。最先端半導体の量産を目指すラピダスなどを念頭にした人工知能(AI)・半導体分野に30年ごろまで10兆円以上の支援をする枠組みを盛り込んだ。能登半島地震への対応を含む安全対策には4兆8000億円を計上する。
自公が衆院で過半数を持たない「少数与党」となる中、経済対策には補正予算成立への協力を取り付けるため国民民主党の主張が多く取り入れられた。
所得税がかかり始める「年収103万円の壁」については「25年度税制改正の中で議論し引き上げる」と明記。ガソリン減税は「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」と記された。各党の税制調査会に場を移し、12月の25年度税制改正大綱の取りまとめに向けて協議を続ける。【加藤美穂子】
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